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018年に誕生したG-SHOCKの初代フルメタルモデルは、ステンレススティールをまとったGMW-B5000Dを出発点に、以後、多彩なバリエーションを展開。

積極的な新素材の採用はもとより、IPやDLCを用いたカラー表現、さらにはエイジド加工やレーザーによってユニークなパターンを施すなど、近年カシオが推進しているCMF(カラー・マテリアル・フィニッシュ)デザインを象徴するコレクションとなった。フォルムこそ初代の角型5000系を踏襲しているものの、その表情はベーシックな樹脂製モデルとは異なる魅力を放ち、古くからのG-SHOCKフリークはもちろん、新たなファンの獲得にも成功した。
 その最新モデルがGMW-B5000MB。マットな質感を持ったブラックケース&ブレスレットをベースに、ベゼルの天面のみをシルバーで仕上げた、モノクロームのツートンが新しさを感じさせるモデルだ。デザインソースは、フルメタルORIGINの第1弾コレクションにラインナップされていたGMW-B5000GD-1JF。ステンレススティールにIP処理を施して深みと艶のある表情を持たせた、シリーズ初のブラックピースである。

このモデルを含む歴代のフルメタルORIGINは、ポリッシュとヘアラインを組み合わせた仕上げが主流。そこで、本作GMW-B5000MBでは「新たな黒の表現」をテーマに掲げ、あえてマットな表情に仕上げることが選択された。従来のG-SHOCKではポイントでしか用いられなかったホーニング加工を多用し、さらに表面には、過去のモデルよりもワントーン明るいブラックIPを施すことで、これまでのフルメタルモデルとはひと味違う、落ち着いた雰囲気に仕立て上げた。

ホーニング加工がもたらすマットな質感は、光沢をメインとした従来のフルメタルORIGINとは対照的だが、それゆえに新鮮味を感じさせてくれる。もっとも、この落ち着いたルックスに至るまでには相当な試行錯誤が重ねられたようで、なかでも難航したのが仕上げのバランス。マットな質感を持つメタルG-SHOCKを目指したものの、時計全体にホーニング加工を施してしまうと、落ち着いた雰囲気というよりも、むしろ地味な印象が先行してしまったのだという。

そこでヒントとなったのが、クルマのホイールや高級ヘッドフォンなどに見られる、マットな質感とミラーフィニッシュを組み合わせたデザイン。GMW-B5000MBではホーニング加工を多用しながらもブレスレットの側面やコマの斜面にヘアラインを残し、さらにはビスやプッシュボタンにミラーフィニッシュを施すなど、加工処理を細かく分けることで、落ち着いた雰囲気のなかにも華やかさが感じられるように試行錯誤された。

こうした加工処理のなかでも、とりわけユニークな手法を取り入れたのがベゼルの天面部。基本的にカラーIPを採用したモデルは、ケースやブレスレットにヘアラインを施し、そののちにIPをかけることでさまざまな色を表現するが、GMW-B5000MBでは全体にIPを施したあと、さらにベゼルの天面だけを研磨し、下地のステンレス色を表出させているのだ。しかもこの加工処理は表面のIPのみを研磨しなければならず、失敗すると修正が効かないリスクの高い手法だという。それでもIP研磨の採用に踏み切ったのは、美しい仕上がりを実現するため。天面だけを慎重に研磨することによってベゼル側面との境界が明確になり、よりエッジィな表情を具現できるためだ。

カシオが得意とする表面処理を巧みに組み合わせ、モノクロームでありながらも立体感とエレガントな表情を両立させたGMW-B5000MB。G-SHOCKにとって重要な意味を持つブラックという色に新鮮なトーンをもたらしただけでなく、光り輝くモデルを展開していたフルメタルORIGINに新しい印象を加えたモデルとなった。


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